そうだ。弾を撃とう。

シューティングゲームが衰退している、という話をたまに耳にするよね」
「実際どうだかは知ったこっちゃないけど、聞いた事はあるね」
「なんで衰退したかをちょっと考えてみようよ」
「えーと、君が最後に遊んだシューティングはなんだっけ」
「10年くらい前にやったときメモのPsyth」
「シューティングファンに一言謝ってから話を続けようか」
「よくわからないけどごめんなさい」
「で、なにか思うところでもあるのかい」
「使うボタンが少ないと思うんだ」
「まあ大抵ショット、ボム、自動連射の三つくらいかな」
格闘ゲームは六つもボタンが押せるのに、半分しかないんじゃそりゃ人気も出ないよ」
「その理論で行くならタイピングゲームは大人気のはずだね」
「あれはキーです」
「そうですか」
「連射ボタンを押しっぱなしにして、固い敵が出たらショットを押しっぱなしにしてレーザー当てて、やばくなったらボムボタン」
「あとはひたすら避けるだけ」
「舐めんな」
「誰に怒ってるんだかさっぱりわからないよ」
「これではボタンを押す楽しみが殆どないじゃないか」
「押しっぱなしだからねえ」
「だからボタンの数を増やして、もっといろんな攻撃方法で虐殺させて欲しいのさ」
「表現はともかくとして、まあ言いたいことは何となくわかった」
「ゲームの基本はボタンを押した反応にあり」
「忘れるな、幼い頃バスの停止ボタンを押した瞬間のドキドキを」
「やっぱり、一杯押して一杯光らせたいよね」
「エレベーターのボタン全部押したりしたいもんね」
「社会の中じゃできないからこそ」
「ゲームの中では押しまくりたい」
「そういうわけで、6ボタン」
「反応の違う6ボタン」
「一つ目、バルカン」
「基本中の基本だね」
「威力最低、連射力最高」
「弾速も早いから、ザコが撃ってくる前に倒すことができる」
「でも威力が低いから、耐久力の高い奴には向かない」
「正面にしか撃てないのも欠点だよね」
「二つ目、ミサイル」
「これまた基本だね」
「撃った瞬間はその場にとどまり、ちょっと間をおいてから上に突進」
「あ、これ縦シューなんだ」
「弾速もあんまり早くないから、ザコに撃つと当たる前に弾を撃たれちゃう」
「でも威力はそこそこ」
「当たった時に小さく爆発して、爆風でも敵を倒せちゃう」
「便利だね」
「三つ目、ショットガン」
「散弾って奴だね」
「前方広範囲に弾をばら撒く便利ショット」
「威力も高くて頼れる奴」
「でも強すぎて、撃つと自機に反動が来ちゃう」
「後ろに下がって、ちょっとだけ動きが止まっちゃう」
「弾自体も一発ずつだから」
「縦の隊列組まれると弱いかな」
「四つ目、ビーム」
「超兵器だね」
「ビームといえば貫通だよね」
「ステキ貫通兵器」
「横に移動しながら打つと、そっちの方向に砲塔が向いて斜めに撃てちゃう」
「しかも貫通」
「でもバルカンより細くて、小さい敵を狙い打つには向いてない」
「連射もあんまり効かない」
「使いづらいよね」
「斜めに撃てるだけよしとしよう」
「五つ目、スピードアップ」
「攻撃じゃないんだ」
「武器のネタが切れちゃった」
「ナパームとかじゃミサイルと被るしね」
「というわけで速度上昇。弾をまとめて避けて下さい」
「押してる間は撃てません」
「六つ目、バリア」
「ボムじゃないんだ」
「ピンチを免れたいだけなのに、なんでザコが全滅しなきゃいけないのさ」
「自分で撃ち殺したくてシューティングやってるのにね」
「というわけで10秒間無敵です」
「大盤振る舞いだね」
「その間に好きな兵器で思う存分撃ち殺してください」
「お勧めは接近してショットガン」
「単発でも威力が高いのに、近くだと全部当たっちゃう」
「大抵の敵は一瞬でドカーン」
「跪け、命乞いをしろ」
「そういう気分になるゲーム」
「あと、自機の当たり判定はわかりやすくしよう」
「見た目より判定が小さいと、自分が詰んでいるのかどうかわからんもんね」
「わからないから避けようとして」
「ドカーン」
「こうして初心者は離れていったのでした」
「君の体験談だけどね」
「どうかな、こんなシューティング」
「えーと、君が最後に遊んだシューティングはなんだっけ」
「10年くらい前にやったときメモのPsyth」
「ははは」
「ははは」
「シューティングファンに一言謝って話を終えようか」
「よくわからないけどごめんなさい」