ぬう…あれは馬豚…

馬豚

その昔、中国に足の速さでは比類無しといわれた安・加阿という男がいた。ある日隣の村から税として納めるための馬と豚が一頭ずつ足らず、その二頭を明日までに隣村に貸し与えて欲しいと頼んだ。

通常その村までは、普通に歩いても三日かかるという距離であったが、安・加阿はこれを引き受け、見事翌日の早朝に馬と豚を届けたという。

以後その村において、特に俊足に秀でた者を安・加阿の再来と人は称えた。

なお、現代でもリレーの最後に俊足のものを置きアンカーと呼んだり、彼に渡すための棒をバトンと呼ぶのはこの名残であることは言うまでもない。


民明書房館『磨かれた124えの走法』より抜粋