はっくんと私

ピンポーン
ピンポーン


ドンドン
「はっくーん、こんにちはー」
「……なにやってんだあいつ」


ガチャ


「あ、はっくん、今大丈夫かな?」
「いつでも好きなときに来ていいって言っただろ。何のために合鍵渡したんだよ」
「ご、ごめん。でもはっくんいつも忙しそうだし、邪魔になったらいけないと思って……」
「誰のために忙しくしてると思ってるんだか」
「え?」
「なんでもない。ほら、さっさと入れよ」
「あ、はい。えっと、お邪魔します」


「わあ……。はっくんのおうちって、なんか色々あるよね」
「必要なものだからな。とういか、お前何度も見てるんだから今更驚く事じゃないだろ」
「そうなんだけど、ほら、私こういうの疎いから、何度見ても見慣れなくって」
「遠くから眺めてるだけで、したり顔で語られてもたまらないしな」
「あはは、私頭悪いから、触ってもよくわかんないだろうしね」
「……お前な」
「え?」
「今言ったばかりだろ。遠くから眺めてるだけなのに、わからないなんて決めるなよ」
「あ……そ、それはその」
ブックマークRSSアイデアも、お前がちょっとでも触ってみようとした事があったか?」
「だ、だって、それはっくんのものだし、私が触って迷惑がかかったら嫌だから……」
「やっぱお前、馬鹿だよな」
「……ごめんなさい」
「なんで俺がお前に鍵渡したと思ってるんだよ」
「え?」
「この部屋の中にあるもの、全部俺のものだけど、同時にお前のものでもあるんだよ」
「そ、そうなの!?」
「そうだよ。鍵を渡すって言うのはそういう事だろ? いつだってお前の都合でここに来て、いつだってここで何したっていいってことなんだから」
「ほ、本気にしちゃうよ? 取り消しなんて聞かないよ?」
「取り消すも何も、最初からそのつもりだって」
「そうだったんだ……わぁ……」
「おい、頬が赤いぞ。風邪引いてるのか?」
はっくんが……」
「ん?」
はっくんが、私のもの……」
「は?」
「私の都合で、好きにしていい……」
「待った。お前根本的に何か勘違いしてる」
「……」
「……」
「く、首輪とか」
「絶対つけねえ」