幻想的な風景を壊すもの

商店街へ買い出しに出かけようとすると、いくつかの道を選ぶことになる。昼間なら特に迷わず気分で選ぶのだが、夜は専ら決まった道を選ぶことになる。その道はとある施設の中の開放された道なのだが、これがなかなか情緒に富んでいて素晴らしい。

まず道がレンガ。いい加減アスファルトに慣れきった足を新鮮な感触がもてなし、さらにその道を落葉が優しく包み込んでいるため歩くことが楽しい。そして景色も周りは木々に囲まれて、綺麗な緑を楽しむことができる。また夜になると、さらに曇りガラスに覆われた電球の灯りが周りを薄明るく照らし、少し幻想的な風景に浸ることができる。夏場なら蝉の声がうるさい位に聞こえてくるし、この時期の夜ならスズムシやコオロギの大合唱だ。本当にいい雰囲気の道だと思う。

ところで、こんないい雰囲気なのにこの道は不思議とカップルの姿が見当たらない。別に僕以外誰も知らない道というわけでもなく、買いもの帰りの主婦や一人で帰宅するお父さんなどの姿はいくらでも見受けられる。カップルの姿だけが見当たらないのだ。一体何故なんだろう。

疑問に思った僕は早速その道へ行き、まず深呼吸をしてから考えてみようと思い、深く息を吸った。途端に馬糞やら牛糞やらの動物臭さが肺を満たす。うーん、危険がデンジャラス。

さあ、落ち着いて考えてみよう。