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僕が親の愛ってものを理解した(と感じた)のはバイトをして初めて給料を手にしたときだった。幸か不幸か偶然か必然か、母子家庭の環境で育った僕は結構な不満を親に抱いていたと思う。なぜ他の家には父がいるのにうちにはいないのか。嫌いになって別れるような相手となぜ結婚したのか。それを聞いたらなぜ泣き出すのか。不満だらけだった。


給料の額を思い浮かべ、何に当てていくかと頭の中で試算して、あっという間に残金ゼロになったとき僕は愕然とした。足りない。金ってこれだけ働いてもこれっぽっちしか手に入らないものなのか、と思い知らされた。その瞬間思い出すのだ。自分が住んだ家、電気、水道、ガス、食事、衣服、漫画、CD、エトセトラ。二十年もの近く、これだけの額を親はどうやって歳出してきたのか。決まっている。身を粉にして働いて手に入れたのだ。


愛は金で買えないとか思ったりもしてたが、皮肉にも金によって僕は親の愛情を知ることになる。それ以来、親には頭が上がらない。


とまあそんなような事を、3×歳高校生兼業主婦(二児の母)の方とお話をさせてもらった際にふと思った。こちらの方のお子さんも来年高校生だそうで、まあ微妙な時期である。晩御飯をしばらくは一緒に食べられないとなると、寂しく思ったりするんじゃないかなあと自分の経験と勝手に照らし合わせて思ったわけで。そもそも母子家庭かどうかも確認してないが。他人事ながらなんとなく気になりましたとさ。


本日の退学者×1
通算1人


※追記
親に、というより社会人やってる殆どの人たちに、が正しいかもしれない。