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ある程度以上の知識の総量を超えると、知識が横に繋がりだす、という瞬間が一番勉強の楽しいときである、という話を聞いたことがある。体験してみたいなとも思うが、とても高校生程度の知識量ではそんな快楽は得られないだろうと諦めきっていた。

そんな矢先、例えば牛乳のような液状だが多量の物質が混ざりこんでいるようなものをゲルと呼ぶことを理科の時間に学んだ。この瞬間、回りのやる気のない顔をした全自動黒板転写機達の頭の中とは全く違うことが僕の頭の中でおきていた。知識の化学反応とも言うべきそれは、頭の中で火花を放ち真っ暗だった僕の頭の中を少しだけ照らし出したのだ。


ああ、ゲルショッカーとは牛乳を用いたテロリズムを行う悪の秘密結社だったのか! と。


牛乳の恐ろしさは今更語るまでもない、床にこぼれた牛乳を拭いた雑巾を洗わずに干し生乾きにすることで完成するあの凶器を作り出す元こそ牛乳でありゲルである。恐ろしや、例え鋼の意思でもって彼らに対抗しようとも、顔の前にこの凶器をちらつかせ「従わなければこの雑巾を貴様の愛する者の顔に乗せるかもしれんぞ」などと言われれば従う以外に道はない。


我々は、今一度仮面ライダー1号・2号の両氏に改めて感謝の意を示すべきではないだろうか。


といったような感想を持つことも、ゲルとゲルショッカーを知らなければ出来ない事である。知識の連鎖をもっと教える側が意図的に狙って作り出せるようになれば、もう少し勉強も受け入れられたりするのだろうか。んな簡単にゃいかんか。ぷよぷよじゃあるめぇに。