そうだ。対話しよう。

「一昔前に、オリジナルキャラ略してオリキャラとの会話形式で綴るテキストサイトが痛い痛いともてはやされた時期があったじゃないですか」
「あったんですか?」
「少なくとも僕の記憶では。でさ、ちょっと考えてみたのよ。じゃあ版権キャラとの対談なら痛くないのかと」
「……多分、痛いといわれる」
「だろうなあ。じゃあ一体、何を持って痛いといわれているのか」
「んー。サイト管理人本人と、管理人の欲望の権化っぽいキャラクターが会話するという願望丸出しっぷりをもって痛い、といってたんじゃないでしょうか」
「どう見てもファンタジーなキャラに、管理人の都合だけでCDだのビデオだのと現代用語言わせちゃいかんよな」
「設定とか性格とか、ぶっ壊しちゃいけない一線というのはあるかもしらんですね」
「うん、制約は必要ってこった。いやまあ何が言いたいかというと、会話形式自体はいいと思うんだ。何がいいって書きやすい」
「書き手の理論言われても」
「そこである人考えた」
「……ジャスラックにいちゃもんつけられても知らんよ」
「設定とか性格とかを最初ッから取っ払っちまおうと」
「というと?」
「さて、私は誰でしょう」
「いい医者知ってるよ。紹介しようか?」
「私は大真面目だ。つまり、僕はどこの誰でもないって事だよ」
「それは不便じゃないか?」
「不便なもんか。年齢顔立ち趣味性別、何から何まで自由って事だよ」
「……んー」
「そんなに深く考えなくていいよ。重要なのは、少なくとも僕らは管理人の願望丸出しキャラクターじゃない、って所なんだから」
「あー、詰まるところ僕らを持ってして痛くない対話形式のテキストを作り上げた、と」
「作り上げたなんて崇高なもんじゃないけど、まあそういう事。どうかな」
「……」
「……」
「……多分、痛いといわれる」
「えー。駄目?」
「結局管理人の言いたい事を、仮想キャラクターに代弁させる時点で駄目なんじゃないかな」
「うーん、そっかー。うーん」
「言わせることにもよるけどさ。単純にコントやりたいならともかく、今やりとしてることなんて対話形式にする意味がないじゃん」
「あー。うん、そーだよなあ」
「ところで、なんで急に対話形式なの?」
「ツッコんでくれる人が欲しいらしいよ。一人は好きだけど、たまに急に寂しくなるんだって」
「そっかー。辛いよね、孤独」
「うん」
「……」
「……」
「泣いても、いいんじゃないかな」
「うん」
「……」
「……」