四字文化

日本人は四字にするのが好きな習性があるのだなあ、と思う。例えば字面では、四字熟語と言われる漢字四字による物事の表現法がある。そういやこのblogの隙間三行という名も、カツとカツの合間に食べるキャベツのような存在の仕事を意味する、隙間産業という四字熟語の理念を体現すべくそれをもじって隙間三行と名付けた経緯がある。たった漢字四時でもその中に意味を持たせることに成功した、まさにコンパクト、スリム化を目指す現代にマッチした、優れた表現方法なのかもしれない。いいよね、婚前交渉とか。

とまあ字面での四字文化は四字熟語だが、もう一つの四字文化というべきものがある。発音上の四字だ。例えば「婚前交渉」は「こ・ん・ぜ・ん・こ・う・しょ・う」になるため、四字ではなく八字になる。これを「こ・ん・しょ・う」と四字にして意味を持たせる文化だ。略語というやつである。

略しているだけなんだから意味さえ通じれば何文字になってもいいはずなんだけど、なぜか四字に略される事が多い。有名なところで木村拓哉はキムタクであり、エアコンディショナーはエアコンであり、ドラゴンクエストドラクエであり、パーソナルコンピュータはパソコンであり、ナイトゲームはナイターであり、合同コンパは合コンであり、とりあえずビールはとりビーであり、セガセガガガとなる。

余談だが三文字に略される事も少なくはない。ポテチとかマックとか。が、逆に五文字に略されている言葉は少ない。四字と五字の間に何かしらのボーダーラインがあるのだと思うが、何のラインがあるのかを調べたりするのは少なくともこのblogの役割ではないのでそれは適当にうっちゃっておこう。

とにかく、日本人は言葉を略するという儀式を通過させる事で手間を抜いたり、一方的に親しみを持ったりしてきたのだと思う。今後も人物や品名などの言葉は四字に略され続けるだろう。いつかは隙間三行もスキマサと略される日が来るかもしれない。略称で呼ばれるほどの大手にはならんだろうからいらない考えではあるが。

さて、かように四字文化に慣れ親しんできた日本であるが、最近漫画業界にちょっとした変化が訪れている。そう、ラブひなに代表される最初っから四字に略された題名の漫画群だ。なんつったって略済みなので略しようがない。頑張ればブひと略せないこともないがこれは豚の鳴き声か部活動のための費用だ。別の語句になってしまっては意味がない。

悔しいではないか。長い語句から特徴的な部分を抜き出し、組み合わせて新しい言葉を作るという楽しい作業が奪われているのは。

悔しいではないか。言葉は生き物のはずなのに、最初から定着するべき枠を与えられてしまっているのは。

なので、この悔しさをバネにして略されていないタイトルを逆に与え返してやれないかと思った。つまりラブひなは「イト層から、ン取りまくれ黄金色。ひなた荘です」であり、よつばとは「よつあしで歩く年齢層に欲情するペド野郎どもに告ぐ! かなことやってないでっとと就職しろ!」であり、まぶらほは「ま! おちんちんをぶらぶらさせてたらたるがやってきたんだ! ボクのお水は甘いのかな!?」であり、ぱにぽには「ぱ、痛い、やめて! そんなのほんも入らないよ! もうやめてよ、ぱぱがそんなだからママも……あ、痛い! ごめんなさい、ぽにーてーるはつかまないで! ごめんなさい! ごめんなさい!」の略だと思ったっていいわけだ。作品を読んだ事がない分尚更。

なんかいつにも増して酷い文章書いた気がするが、暑さのせいで脳が茹っているせいだということにしておきたい。というか読んでもいない漫画の正式名称なんて実際どうでもいいわけで、そんなことより婚前交渉させろと思う次第です。あー暑ぃ。