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すっかり書き忘れていたが、大抵の高校に部活動があるように我が校にもそれは存在していて、活発にではないまでも新入部員の勧誘などが行われていた。過去形なのは全校生徒を集めての部活動発表会と称した一大勧誘大会が行われ、この日を境にほぼ全ての生徒か何かしらの部活動に参加し、また参加していない生徒は今後も参加する意思が芽生えることは無いであろうという推測から、勧誘の手もかからないためである。


言う程度には憚られるが気を使われるほどには重大でもない些細な事情から運動部に所属することを義務付けられていた僕は、多少の縁もあったことからテニス部に所属することにした。やろうと思えば兼部も可能だが、テニス部の活動日数は多く余裕を持て余すことは無いだろうと判断した僕は入部手続きを終え早々に退散しようとしていた。その時である。文学部の方からこんな言葉が飛び出した。


「先生、奇跡だよ、新入生がこんなに来てるよ」


もしこれが英語部や写真部、陶芸部などの部から発せられた言葉であったのなら見向きもしなかったのであろうが、残念ながら僕はそこいらに転がっている十把一絡げのオタクに属する人間であり、今現在絶賛放送中の涼宮ハルヒの憂鬱における活動拠点が文芸部であることを知ってしまっていたのだ。


放送中のアニメに関連した部活。突然増えた新入部員。この符号が意味するものは一つ…!


頭の中に響き渡るメタルギアソリッドのテーマをBGMに、無事部員登録を終えた僕は頭の中の大佐に結果を報告し、帰途に着くのでありました。


あと、テニスで的屋ゾーンの展開に成功したらご報告します。